情報で溢れた現代社会
僕は20✕5年に生まれた
絶賛不登校中の小学5年生
僕はスマホとパソコンさえあれば学校なんて行かなくてもいいと思ってた
この時まさかこの僕が英雄(ヒーロー)と呼ばれる日がくるなんて思いもしなかった
これは人間がデジモンの存在を知ることで運命が変わった少年のお話である
「今日は恐竜でも調べようか」
少年は引きこもりであった
自宅のパソコンとスマホを交互に操作しながら四六時中調べ物をしていた
「ティラノサウルスの弱点は足?だったら鉄で覆っちゃえば無敵なのに」
少年は調べるのが好きであった
ネットで検索すれば疑問に思ったこと知りたいこと、何でも答えてくれる
両親や学校の先生でさえ聞いても分からないことをインターネットだけ僕に教えてくれる
そうさ、僕に友達なんていらない
少年にとってスマホとパソコンはパートナーだった
このまま誰とも会わず部屋に籠ってゲームしたり好きな音楽や動画を見て気ままに過ごしたい
ポコンッ
しかし少年の生活はデジモンによって大きく変化していった
「なんだこれ?」
それは突然のニュースだった
インターネットのニュース欄が一面デジタルモンスター、通称『デジモン』という生き物についての情報で溢れていた
AIが発達した現在
AIを使って仕事をしたり、ケアマネジメントAIといった医療に用いて人の心のケアに活用されたり、AIは日々大勢の人間を支えつつ独自に進化し続けていた
デジタル機器が普及して間もない数年前
近年奇妙な現象が世界中で起きていた
スマホの中で恐竜が湧き出たとか
パソコンがショートしたかと思えば謎の笑い声と共に元に戻ったとか
今思えば全てデジモンの仕業であったと子供の僕でも納得がいく
僕はすぐにデジモンの存在を信じた
恐竜のデジモンとかカッコイイし
ネットでは大丈夫だと書いてあるし
騒ぐやつのコメントは見るに耐えない
「このサイトついさっきまで無かったよね?」
突如、デジモンと検索すると一番最初にデジモンマッチングサイトという謎のホームページが現れた
どうやらデジモンとパートナー関係を結べるサイトらしい
僕は興味本位で迷わずクリックしてしまった
これが始まりだった
最初に目に入ったのは大文字で
【デジモンをパートナーを結びより良い人生を送ってみませんか?】との表記
その下にはプロフィール作成、性格診断と相性診断…赤文字で個人情報は絶対に漏洩はしないと約束します!と注意書きされていた
「なんか面白そう」
ボクは好奇心に任せて自分のプロフィールを作成しサイトに登録した
親に黙って作ったメアドとアカウントだからバレることは無い
診断は3分で終わり、すぐにメールで結果が届いた
【診断結果】
あなたと相性が良いデジモンはアグモンです
心の紋章は『勇気』
あなたの中には強く情熱的な勇気が眠っているようですね。しかしそれを発揮するには自分自身と向き合う時間が必要です。アグモンは火を吹く強い恐竜型デジモンですが、とても繊細で優しい子です。傷ついた時、前に進めないあなたの心に寄り添うに相応しいデジモンとなるでしょう。
アグモンもあなたを気に入ったみたいです
承認しますか?
YES⬅︎ NO
カチッ
「あ、やべ」
無意識にボクはYESを押してしまった
慌てて電源を切ろうとしたがスマホはまるで意志を持ったかのように大量の0と1の数字に侵蝕され、マウスは反応せず画面は固まり制御ができなくなっていた
ものの10秒の出来事だった
スマホ画面からプレゼント箱が表示され
決定ボタンを押すと同時に箱の中から黒いアグモンが飛び出した
「俺!黒アグモン!よろしくな!」
プレゼント箱から飛び出した黒いアグモンがスマホ画面からにゅるりと実体を持って現れた
「うわっ!?」
思わずボクは椅子から落ちる
黒いアグモンに「大丈夫?」と倒れたボクを優しく起こす
「ホンモノ?」
「そうだよ、俺はお前と相性が良いアグモンなんだぞ!」
ボクは恐る恐る黒アグモンの体を触る
ザラザラした皮膚、脈拍、呼吸音
試しに口を開けさせてみると鋭い牙が覗く
間違いなく本物だ
「こんな簡単にデジモン貰えるとかヤバいだろ」
「何言ってんだよ!このマッチングサイトに登録するには人間世界の生活についての検定試験が必須なんだ。俺はあっちで1年以上も猛勉強したんだぜ」
「?」
ポコンッ
サイト運営者からメールが届く
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この度黒アグモンを選んでいただき誠にありがとうございます。
当サイトに登録しているデジモンは人間世界で生活するために必要な知識と教養を受けております。食費や排泄に関しましてコチラで物品を用意させていただきます。
もしその他お困り事がございましたら当サイトの電話番号にご連絡ください。
それではデジモンと良き人生を!
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「は?説明これだけ!?どうしよ…デジモンなんて飼ってるとバレたらママに怒られる」
「そこは安心しろって!ママの前ではスマホに入ってりゃいいし、俺は何よりゲームが好きなんだ!だから学校行っても俺は一人でゲームしてるから暇も潰せるぜ」
「恐竜のクセにゲームすんのかよ」
「悪いか?これでも格闘技も覚えてるんだぞ!」
「おっ!お前ゲームやってんのか!」
僕が黒アグモンはすぐに仲良くなった
僕だけじゃない、瞬く間に多くの人がマッチングサイトを使用しすぐにデジモンと生活を送るようになった
友達なんかいらないと考えてた僕の世界は黒アグモン遊ぶことで気づかないうちに多くのことに挑戦する意欲へと繋がっていった
診断結果に書いてあった通り僕には底知れぬ勇気と情熱があったようだ
デジモンマッチングサイトの主はその後、登録者全員にクエストを表記。クリアすると様々な便利な景品やデジモンのオヤツを獲得できるというシステムを作り出した
その中で一番難易度が高いのは『デジモンバトル』
勝てばポイントが溜まる簡単なトーナメント
それから僕と黒アグモンはゲーム好きもあって何度も地区エリア大会で優勝している
溜まった分だけ豪華な育成アイテムが購入できるし、大勢の人達に観てもらえる
この半年、とても楽しかった
黒アグモンがブラックウォーグレイモンに進化して年上のお兄さんお姉さん達とバトルで勝って、他の大会にもたくさん出場して勝っては負けてを繰り返しながら諦めず勉強した日々…
こうして5年が経ったある日メールが届く
??????「機は熟した」
ポコンッ
「ん?デジモンマッチングサイトの主からメールが届いたぞ。久しぶりだな」
「何が書いてあるの?もしかして俺達世界大会に進めるとか!!」
「んなわけねぇよ!全国3位の僕らに世界大会パス来るはずないよ…ん?」
「どうした?」
「デジモンの討伐クエストだって、えーとなになに…」
【デジモン討伐クエスト】
運営者より。緊急通達!
※このメールは全国上位の者にしか通達しておりません。パニックが起きる場合もありますのでくれぐれもこのメールの内容をネットに公開しないでください。
この度デジタルワールドを滅亡させる暗黒デジモンが現れました!
デジモンの名は██████。
消滅させなければデジモンだけでなく皆様の世界にも影響を及ぼす恐ろしいデジモンです。
是非皆さんのお力でそのデジモンを消滅させて下さい。
宜しくお願いします!!!!
「██████?それが討伐対象デジモン?」
「すごい言いづらいデジモンだな」
「何はともあれ僕達に声をかけるほど大変な事なんだろう?やってやろうじゃないか相棒!」
・・・
「コウジならそう言うと思ったぜ!」
これは人間とデジモン
ふたつの世界が交わったばかりの頃のお話
コウジと黒アグモンを初めとする優秀なデジモンテイマー達知るだろう
はこれは仕組まれた運命だったことを
彼らはデジモンマッチングサイトの主、アポカリモンを殺す死刑執行人に選ばれたのだ
人間とデジモンの出会いは全てアポカリモンの自殺願望から始まった出来事である
「こんな世界に自分は存在してはならない
死ぬに死にきれない我が身を誰か倒してくれ…!」
世界のヒーローと呼ばれることとなる少年少女達、彼らが選んだ結末は以下に!?
【終焉の旅路に祝福を】に続く