「みつけましたわ!」
昼下がりを過ぎた頃だった。
喜色に溢れた歓声が聞こえてふと、そちらに目をやる。そこには傾きかけた太陽を背に、風船の様なプニポヨした物体が浮遊していた。逆光になっていて見え辛かったこともあり、オレの口からは思わず「うん?」と訝しげな声が漏れる。
「うん? じゃありませんわ。もしかして寝坊助さんなんですの?」
オレの声に反応してプニポヨから先ほどと同じ声が聞こえる。ラジコン……いやドローンだろうか?
おそらく黒い目の様なものがカメラだろうな……ふむ。天真爛漫そうな声からして、子供がたまたま通りがかったオレに声をかけて遊んでいるのだろう。
「貴方様に会いに……私(わたくし)、はるばるデジタルワールドから会いにきましたのよ! 本当に……会いたかったです朔弥(さくや)様!」
そう言うなり、プニポヨは本体……いや躰をオレにぶつけて垂れ下がった長い飾りのようなモノを絡ませてくる。これは、触手か? 違和感に気づき出したオレが、ドローンにしては明らかに色々おかしいと気づくのにそう時間はかからなかった。
「うわ、なんだコイツ!? 生き物なのか!?」
それにオレの名前は〝雀斗(さくと)〟だし、人違いだ!
【登場キャラクター】
ジェリーモン
お転婆お嬢様。デジタルワールドで知名度のあるアイドル。
主人公を振り回す。気高く、毅然とした振る舞い。こうと決めたら譲らない一途で頑固さがある少女のようになることがある。
・主人公(雀斗)とは、対照的なパートナー関係
・モチーフ元が水母(くらげ)とも書くように主人公を導く役割も持たせられたら良いなと考えていました。
・ジェリーモン可愛い。そして、かっこいいくらいしか筆者は、考えてません。
雀斗(さくと)
主人公。高校生くらいで捻くれていて諦めの思考が常にある。
典型的な悩みを抱えている未成年主人公といった感じ。
【ストーリー】
ジェリーモンが過去に離れ離れになったパートナー(朔弥)の「また会える」と言った言葉を信じ、並々ならぬ気概でもってリアルワールドへとリアライズしたことから始まる。そして朔弥によく似た青年、雀斗を巻き込んで好奇心のままに己のパートナーだった朔弥を探す。
・途中でジェリーモンの追っかけであるデジモンが、街で事件を起こす的な感じで考えていました。
【考えていたセリフ(モノローグ)】
ジェリーモン
「私(わたくし)を幼年期のように扱わないで下さいな」
「イ〜…ヤ! です!」
「……当人ではない貴方に、其れをを否定する権利は有りませんわ」
雀斗
どうにも悔しい。きっとこの先このおかしな出会いを忘れることは、無いのだと思うと……幼稚な思いが湧き上がってくる。
……でも、確かに以前のオレよりも今の方が満たされていると感じる。気分だって悪くはない。
【その他】
・イメージワード(意味は特にありません)
水母 元気 ペールカラー 明るい
ふわふわ ぷかぷか シャボン玉 泡
……以上をノベコンに投稿する用で考えていましたが。
完成の見通しがない(とくに起承転結の転の部分があいまい)&他にノベコン用の書きやすいネタを思いついた
などの理由で、お蔵入りになりました。タイトルも仮題のままですが、ネタとしては、結構気に入っています!
【嘘言】
大変面白く読ませて頂きました! 夏P(ナッピー)です。
まさかな……朔弥様が雀斗君の生き別れの実の兄だったとは……そして(例によって)デジタルワールドで洗脳されて襲い掛かってくる展開が待っているとは。う~む、これはフロンティアの輝二と輝一オマージュ。前振りされていた言わせたい台詞も、まさかあんな場所で発せられることになるとは、でもそこから出会いは歪だったけど育んできたリアルな関係を以って改めて旅立つ姿は感動的でしたね!
それはそうとクラゲと言えば海月のイメージでしたので水母の方の漢字をフューチャーするのは新鮮でした。
ジェリーモンは不思議と、いやよく考えたらゴスゲ的にも公式的にも不思議でも何でもないのですが、お蝶夫人よろしくこういったお嬢様キャラが似合う。ひろみ宜しくてよ。でも冒頭のプニポヨ連発される描写からして最初プニモンかポヨモンしか浮かばなかったのは内緒。
それでは今回はこの辺りで【嘘言】とさせて頂きます。