文字通りの奈落の底に沈んでいた。
地獄だとか冥界だとか、そんな大仰な言葉で表現するのも烏滸がましいゴミ捨て場。
あらゆるデータが循環する電子世界においてさえ、不要とされたものが行き着く先。
それが泥なのか。毒物なのか。腐って溶けた死骸なのか。排泄物なのか。或いは、もっと悍ましく恐ろしい穢れなのか。もはや区別する意味など無い。
そこに沈む“それ”もまた、汚泥との違いは無く。「敗者」ではなく「廃棄物」として処理されたそれに、汚泥から這い上がるだけの機能は無い。塵芥と共に浮かび続けるだけの淀み。
だが、それには電脳格(デジコア)があった。自分でものを考える力があった。それを叫ぶ口があった。
「バグで生まれた捕食機構、だと!? 生まれるべきではなかった、癌細胞だと!?」
奈落に堕ちる直前に言われた言葉を繰り返す。
叫ぶ度に汚泥が口に入り込むが、それでも構わないと。叫ばずには、誰かに聞かせずにはいられないと、残された体力の全てを使ってでも
「ふざけるな! 俺は俺だ! 今ここに生きてるデジモンだ!!」
誰もいない。誰も応えない。
瘴気漂う最終処分場には、誰も――
「ほーう。ええシャウトやないの兄ちゃん」
――いない筈の誰かの、自分以外の誰かの声を、聞いた。
久しく「人格があるもの」として扱われていなかったそれは――否、彼は、その声をきっかけに自我と汚泥の境界線を取り戻す。
左右と額の三つの目をぎょろりと動かして、声のする方を見た。彼は、まだ自分の目が機能している事に驚き、感謝する。
「よーう。こっちやでー」
汚泥の池の岸から、声の主が手を振っている。
岸に座って、左目しか無い顔をこちらに向けて笑っている。
声の主には彼と同じように顔があって胴があって、二本の足があって……ただし手だけは、振っている手もそうでない手も、全て合わせて八つあった。
彼には生えている尻尾も、声の主は持っていないようだ。
あれもデジモンなのだろうか。何故こんな所にデジモンがいるのだろうか。
今度は明確に「誰に届けたいのか」イメージして、声を出す。
「誰だ、てめえ」
「誰てお前、神様やぞ。神様」
「コキュートスに神がいるものか」
「そら、普段はおらんわ! お前がおるからワイもおるねん」
神を名乗るそのデジモンは「よっこらしょ」と立ち上がり、そのまま彼に向かって歩き始める。
神は汚泥の池に足を踏み入れた。汚泥は赤い下履きを容赦なく黒に染めていくが、神は怯まない。
ざぶ、ざぶ、と池の中を進んで行き、神の膝まで浸かったところで彼と神は出会った。
案外池の底は浅かった事を、彼はここで初めて知る。
「よっこいしょー。……うお! お前軽いな!? 飯食っとるか? 食ったからこないな所におるんやったな。なーはっはっは!」
神は彼の片腕を掴んで、汚泥からぐっと引き上げた。
彼は腕を引っ張られて無理矢理立たされた状態になり、さっきまで汚泥の底にあった金の短髪や漆黒のスーツが露わになる。
視線が上がった事で、彼の血のように赤い三つ目と、神の火のように赤い左目が合った。
神の頭は透明な球の“蓋”で覆われていたが、その程度の壁は彼にとって些細なものであった。とにかく、赤の目同士は確実に互いを捉えて離さなかったのだ。
これも刹那の間の出来事で、神はすぐに彼に右肩を貸し、岸に向かってずるずると引きずっていく。
複数ある赤い右肩も、前方に突き出すような形状の胸部装甲も汚泥に塗れた。
ただ、蓋に覆われた赤髪とかんばせだけは綺麗なままで、彼は安心したようにも、憎たらしいようにも思えた。
神がいる訳ない。そうは言ったが、こんな所にまで廃棄物を拾いに来れる奴も神しかいないだろうと思い直す。
やはり本当に神なのかもしれない。
だがそれが何になる?
「救いの神なんざ要らねえ。神ごときが俺を救えるかよ」
「そうや。ワイはお前を救わん。お前が自分でお前を救うんや」
神は岸に上がったところで、彼を下ろして横たえた。
彼には起き上がる力が残っていなかったので、されるがままに横たわり続けている。
救うつもりが無いのならば、この行いは何だと言うのだ。
救うつもりが無いというのに、奈落の底まで神が何をしに来たと言うのだ。
彼は神を睨んだ。いっそ、不遜の罪で罰してくれやしないかと思ったが、神は何も咎めてはくれなかった。
その代わり、どこからともなく何かを取り出し、彼に握らせる。
彼に物を握る力さえ無いのを見越してか、わざわざ丁寧に手を開いて握るのを手伝ってまで。
「ほれ、ええもんやるわ」
彼の手に渡った物がきらりと銀色に光る。
銃だ。銃口が二つずつある二丁拳銃だ。
「どや、かっこええやろ。銘は『ベレンヘーナ』。お前さんの仮面見とったら思いつきました」
ベレンヘーナという言葉が意味する物を彼は知らなかった。仮面を見て思いついたという事は、青とか紫とか、そういう色に関係する物なのだろうなあと当たりをつける。
いや、そんな事より彼が気にするべき事があった。
「俺は銃なんか、使った事ねえぞ」
彼は己の爪だけで戦ってきた。爪で敵を、味方を、肉を切り裂き、喰らって来た。そして奈落に堕とされた。
銃火器の類はどの進化段階でも使ったことが無い。今更後付けの銃を渡されても困る。
困る、が……生まれて初めて握った銃は、まるで永い間ずっと側にあったかのような握り心地をしている。彼はそちらの方がよほど困惑した。
「まあまあ。騙されたと思って使てみぃ? タダでやるから。飽きたら捨ててくれてもええし」
彼は「捨てていいならじゃあ……」と銃を地面に置くフリをする。これを思いついた瞬間、実行するための力が湧いてきたのだ。
実際に捨てるつもりは、今のところは無いが。
「今ワイの目の前で捨てんなや! お前、中々ノリがええやっちゃな……」
神は彼をじろじろと、今更感心したように見つめている。
彼に対してやたらと好意的な神だが、彼自身にはその理由がさっぱり検討もつかなかった。
彼は、彼を汚泥と同じものとして扱う『世界』に神も含まれているとばかり思っていたのに。
「なんで神なんかが塵(オレ)を助けようとする?」
「だからワイは助けてへんて! お前が一人で勝手に助かるように、ちょいとちょっかい出しただけ……いやコレ、世間様的には十分助けとるな? まあ、自分で助かるんはこの後からって事で」
神は自身の矛盾に一人で気付いて一人で納得し、彼にも納得を求めようとする。
このまま煙に巻かれるのかと思ったが、神はほどなくして「ベレンヘーナ」を授けてくれた訳を話してくれた。
「いやあ。お前がゴミみたいに捨てられとるの見とったら、ムカついてきてなぁ」
軽い口調に見合わない、随分と神らしい慈愛の精神だ。彼は鼻で笑う。
「もっっっったいなっ!!!」
別に慈愛でも無かったようだ。
「な〜にが『暴食の化け物』や! 来てみたら普通のデジモンと何も変わらんやんけ!」
暴食。化け物。どこの誰からも何度でも言われた言葉だ。
異常な食欲を抑えられず、生きたデジモンの尊厳ごと食い尽くしてきた彼にとっては聞き慣れた罵倒の言葉だ。
――待て。この神はそれを否定したのか?
「戦って敵を殺して食って生きる、デジモンなら当たり前の事やがな! それを何や? ちょい食う量が多いから言うて、この仕打ち! 自分らだけ綺麗なもんと思っとるんか? 武器産みの神(ワイ)を生み出しといてなーにを今更! アホちゃうか!?」
神の目の端に皺が寄る。物凄い剣幕の怒りの表情だ。(元々そういう性格なのかもしれないが)口調もどんどんと早口になって、終いには聞き取れなくなった。
彼には神が何を言っているのか分からなかった。聞き取れなかったという意味ではなく、どうして自分の味方をしているのか分からない、という意味だ。
彼のいやに長い呪われた生の中に、彼を庇う者自体が久しくいなかったのも理由の一つなのだが……彼の中にある業(バグ)を、「取るに足らない当たり前の事」として切って捨てる者はただの一人もいなかった。
こんな怒り方をしているのは、炎の色をした八つ腕の神だけだ。
「……まあ、普通のデジモンが生きても死んでもかまへんのやけど。でも、こぉんなに強く育って、おまけにどんな目に遭うても『俺は俺や』叫ぶガッツのある奴が、こんなつまらん最期を迎えるくらいなら……せめてワイの武器使てみてから死んで欲しいな〜? 思て、来ちゃいました♡」
武器産みの神はにたりと笑う。
自分と違って片目も口も隠れているのに、怒ったり笑ったり表情がころころ変わる神だなあと、彼は感心を通り越して呆れた。
「ワイに出来るのは武器(そいつ)をくれてやる事だけや。そいつを使て何をすんのかは、自分で考えるんやな」
神の手を借りなければ汚泥から這い上がる事も出来なかった自分に、何が出来る?
「安心せえ。お前は自分でものを考えられるデジモンやからな。これからどうとでも出来るし、どうにでもなる」
無責任な励ましの言葉の羅列も、あの神の口から出た言葉であるなら信じられる気がした。
「そうそう! そいつが壊れてもうたら直したるから、会いに来いよ!」
「てめえの名前も知らねえのに会いに行けるかよ」
「そんくらい自分で調べぇや! 生きとるんやから、出来る筈や!」
ほな、さいなら。そう言ったきり神は遠ざかっていく。
自分から汚泥に入った癖に、「あかんコレ洗濯で落ちるんか?」と大声で愚痴りながら。
「……生きてる。俺はまだ、ここで生きてる」
しかし、生きているだけだ。
泥から這い上がるのさえあの神の手を借りないといけなかった自分が、これから先どうやって生きる?
せめて食べられる物があれば、失った力を補給できるかもしれないのに――
――手の中で光る銀色を見る。
仮にも神から賜った銃だ。喰らえばそれなりにデータを補給出来るかもしれない。
「……いや、まだだ」
それは最後の手段だ。
この銃は生き延びた先で戦うための物だ。
銃以外に目ぼしいデータは無いか、三つの目をぎょろぎょろ動かして必死に探す。このままでは衰弱死する。何か、何か。何か……。
あるじゃないか。喰らっても誰からも咎められないデータが。
「ぐ、うぅ……」
呻き声を漏らして地面を這おうとする。
出来る筈だ。さっき、銃を置くフリが出来たのだから、僅かなら身体を動かせる筈だ。
ざり。と、地面と服が擦れる音がした。動けた。脂汗が酷いがそれでも動けた。
彼はざり、ざり、ざりと芋虫のように地面を這って、神によって掬い上げられたばかりの汚泥に再び向かう。
「俺は蛆虫だ。どうせ化け物だ害虫だと罵られるのなら、俺は蛆虫の化け物になってやる。泥水啜ってでも何を喰らってでも、絶対に生き延びてやる……!」
やっとの思いで池に辿り着いた彼は、淵まで顔を持っていく。彼の口内には、先程叫んだ際に入り込んだ汚泥の味が残っていた。
恐ろしく不味く、汚く、臭い。極度のダメージで味覚や嗅覚が麻痺してこれなのだから、感覚を取り戻せばきっともっとひどい。
意を決して汚泥の池に舌を這わせると、電撃が走るようなえぐ味に一瞬意識が飛んで、ぐるんと白目を剥いた。今まで喰らってきたものを全部吐いてしまいそうになる。
「畜生ォ! 俺は蛆虫だ! 腐肉も糞も喜んで喰らう蛆虫だ!」
蝿の幼虫は吼えた。
今度は勢いよく顔ごと口を汚泥に突っ込み、ごくごく喉を鳴らしながら勢い良く汚泥を飲み始めた。身体が拒否するのを無視して一心不乱に飲み続ける。
その姿はあまりにも異様であり、最早滑稽とさえ言えた。
身体と一緒に掬い上げてもらった尊厳が、ガラガラと崩れていく音がする。
それでいい。喰らって一番美味しいのは血でも肉でもなく、そいつの尊厳だ。今までと、何も変わらない。
◇
対話記録XXX.如何にして人造電子世界に神は生まれたか?
「神がヒトを生み出したのか。或いは、ヒトが神を生み出したのか。この辺りの議論はキリが無いので置いておくとして――人と同等の文化・思考レベルを持つデジモンが、『信仰』という概念を所持していてもおかしくはない。というのはご理解いただけているだろうか」
海神は女に問う。
「しかし、創造主を『神』と言い換えるならば、デジモンにとっての『神』は人でしょう? また、絶対的管理者を『神』と呼称するならば、イグドラシル等のホストコンピュータが『神』に相当するのでは?」
女は海神に問う。
「実に人間らしい問いだ。結論から言うと、極一部を除く殆どのデジモンはそれらを神と見做していない。デジモンを忘れた人を、デジモンは神と認めない。イグドラシルは……半々だな」
海神は女の返事を待たずに続けた。
「人によって生み出され、人に闘争心を持たされ、人に与えられた世界を生きるもしかし、人に見放されたデジモン達は、人に依らないデジモンのための神を必要とした」
海神は槍を以て、海底神殿の壁を指した。
その先にあるのは巨体の海神の全長をも優に超える巨大芸術。ステンドグラスにて象られたオリンポスの神々の肖像。
「デジモンの歴史は戦いの歴史だ」
「人は人の敵と戦わせるためにデジモンを創ったのに、その敵を用意しなかった。だから、デジモン同士で争うしかなかった」
海神は女の言葉に「左様」と頷いた。
「まずデジモンは、呪われた闘争本能を肯定する神を求めた。そうして生まれたのが戦の神だ」
槍の穂先が、豹頭の神と蛇頭の女神の画を指し示す。
「マルスモンは例え卑怯な手を使ってでも戦い抜こうという生き様を肯定する神だ。あれは武術の化身であると同時に、デジモンの血塗られた性(さが)に寄り添う神なのだ」
豹頭の神と蛇頭の女神は、ステンドグラスの中で背中合わせに立っていた。
反目しているのではなく、互いに背中を預けるように。
「ミネルヴァモンも同じく戦の神だが、あちらは誉れある勝利と戦を楽しむ心の表象だ。これら二柱に上下は無い。両者が司る戦いに貴賤は無く、どんな戦いを求めるデジモンでも皆等しく祝福される」
海神は槍の穂先をスッとずらした。次なる神の語りが始まる。
「生き延びるためには戦に勝つための武器が要る。そうして生まれたのが鍛冶神ウルカヌスモンだ。この神の出現により、我ら十二神族の武具を含めた名だたる武器たちが生まれ……遂には捕食機構を魔王と言う名の『神話』へ押し上げるに至った」
次の神は炎に包まれた八つ腕の神だ。
神の肖像と共に、彼の鍛冶神が創り給うた数え切れないほどの武器の姿も描かれている。
「オリンポス十二神が『平等』であろうとする意味が、少し分かってきました。あなた方は全てのデジモンが持つ根底意識から生まれたが故に――」
女は海神に私見を述べる。
海神は静かに頷いた。
◆
飛んで、飛んで、飛んで飛んで飛んで飛び上がる。
羽ばたいた翼から羽根が散るのも、急激な気圧の変化で身体に異常が起こるのも構わず遥か天空へ。
神域(カーネル)に届かなくたって構わない。
世界樹(イグドラシル)が見えなくなって構わない。
聖騎士どもを振り切って、奴ら全体を視界に収められればそれでいい。
背後に気配を感じなくなったところで急ブレーキをかける。見下ろすと、騎士どもはまだまだ下にいる。青い騎士や神の馬にも匹敵するスピードで上昇した彼に追いつける騎士は、その場にはいない。
「捉えたぞ……!」
右手のブラスターを構える。
神造兵器のベレンヘーナではなく、ベレンヘーナを参考にしつつも彼の中で1から編み上げた彼だけの武器だ。
彼はこのブラスターを使った大技を決行。まずは空中に魔法陣を描く。
彼の落ち着いたグリーンの瞳には今描いた逆五芒星が反射し、更にその中心には技の発動を阻止するべく必死に足掻く聖騎士の姿が映っていた。
必殺の技を発動するなら、今だ。
「カオスフレア!」
技名を絶叫すると同時にブラスターが開口。
魔法陣の向こう側にいる騎士目掛け、彼の全身全霊を捧げたエネルギー波を発射する。
エネルギー波は1秒も経たずに騎士団の先頭に着弾。騎士は亡骸の欠片も残さず霧散する。
形あるもの全てを生まれる前の粒子に還す破壊の波動を前に、後続の騎士達は平常心を保てない。
彼の命を注いだも同然の光はただ一人を喰らったところで止まる筈もなく、残りの騎士達も皆平等に焼き払っていく。
美しささえ感じるほどの圧倒的な破壊の光は、ただ眺めるだけの部外者には、ささやかな花火のようにも見えた。
火花散る鍛冶を愛する鍛冶神の目にもまた。
「ほぅらな! やっぱりお前にゃ銃が似合う」
鍛冶神はわざわざ頭を覆う“蓋”を開いて、顎に手を当てながらしたり顔で言った。
視線の先、遥か遠くではブラスターから放たれた光がちらり、ちらりと星のように瞬いている。
「うっふふ。ワイの見立て通りや。自分で勝手に助かりよった。……しかし立派なブラスターこさえたな。後で見せてもらっちゃお」
鍛冶神は授けたベレンヘーナが使われなかった事を全く意に介していない。
寧ろ彼自身が生み出した武器を見て、まるで新しい玩具を手にした子どものように目を輝かせている。
「立派な翼まで生やしよってまあ……! これで、また奈落におっこっても自分で這い上がれるな」
鍛冶神が感慨に浸っている内に全てが終わったようで、黒い翼が地上へ降りていくのが見えた。
カオスフレアが直撃した聖騎士は、影も形も残らなかった。後続の部下達は余波だけで大ダメージを受けて結局死亡し、霧散した。最後尾にいた見習い騎士だけが、ギリギリのところで一命を取り留める大惨事となった。
たった一人生き残った騎士は、怯えを隠せないまま、しかし使命感に駆られて狂ったように叫ぶ。
「レベルを、警戒レベルを引き上げなければ! 我々は……『神話』の誕生を許してしまった!!」
◇
「かくして十闘士によりルーチェモンは討ち倒され、世界には新たに『究極体』の存在が刻まれた……らしいよ」
「らしいよってお主、ルーチェモンが言ったらダメな所じゃろうソレ」
バルバモンは呆れたように言う。
今の今まで古代デジタルワールド大戦の『神話』を雄弁に語っていたのは、他でもないルーチェモンその人だからだ。
「だってしょうがないじゃないか。僕と先代は会ったこともないんだからさ。全部三大天使達からの又聞きだよ」
厳密にはルーチェモンその人、の、同種である。
デジタルワールドの永い歴史の中で、『役職』持ちのデジモンは代替わりを繰り返している。
最も神に近いとされる最高位の天使、ルーチェモンも例外ではない。
初代ルーチェモンが堕天して以降、がらんどうだった天の座を、神は新たな個体のルーチェモンを生み出して埋めようとした。天のシステムを再起動させ、世界を再び正常に運営しようと試みたのだ。
その二代目ルーチェモンが『強欲』のバルバモンと親しく会話している時点で、顛末はお察しである。
「きっと、とても暗くてどんよりした時代だったろうね。僕という星がいないから……」
「うん。そうね」
ルーチェモンのナルシシズム全開な台詞に、バルバモンは雑な相槌を返した。
ゆるい肯定でとどめておくのがポイントである。
「と、なるとアレか。古代大戦の全容を知る者は、もう生き残ってはおらんのか」
「うん。今いる神々もみんな十闘士が没した後に生まれた存在――というか、十闘士が死んで頼れる相手がいなくなったデジモンが、救いを求めて神を生み出したんだから、そりゃあねえ」
ま、天使やナイツどもにとってはあれらの神は偽物だろうけど。とルーチェモンは憐れむような口調で付け加えた。
「簡単に先代ルーチェモンだの十闘士だのとは言うが、神が生まれる前の世界と言われると途端にスケールが膨大に感じるのぅ。爺を名乗る気も失せるわい」
「そもそも君、そこまで年取ってないじゃない」
バルバモンは老翁の姿をしたデジモンだが、実はこの個体は魔王の中で比較的若い個体だ。少なくとも二代目ルーチェモンよりは若い。
「じゃあ、七大魔王のメンバーが固定されたのはいつ頃なんじゃ? 今でこそイカしたアイドルグループになっとるが、元は強いデジモンを何となく呼んどっただけなんじゃろ? そろそろメンバー変更とかせんのか?」
「メンバー固定になってから何千年も経ってるから無理かな☆」
「ほげぇ」
バルバモンはしおしおと萎びてガックリと肩を落とした。おかげさまで一段と老けて見える。爺を名乗る気も失せるとはなんだったのか。
「なんじゃ……。ベリアルヴァンデモンらへんに『強欲』の座を譲り渡そうと思っとったのに……」
言い方が上品になっているだけで、要はベリアルヴァンデモンに魔王の汚名を擦り付けようとしているのである。
「昔はベリアルヴァンデモンも出たり入ったりしてたらしいんだけどね? どこかの代のバルバモンがやたらめったら強くて、ベリアルヴァンデモンと一騎打ちして圧倒しちゃったらしくてさ。それでバルバモンがメンバーin、ベリアルヴァンデモンoutしちゃった」
「そいつ絶対外れ値じゃーん。ええー? 絶対外れ値じゃってそれー」
バルバモンは「やってらんない」とばかりにソファーへぼすんと身体を預け、足をぶらりと投げ出した。魔王が同種の強さを疑い、不貞腐れるという珍妙な事態が発生している。
「そいつがベリアルヴァンデモンに勝っちゃったのが悪いって事? そいつのせいで儂、進化した瞬間封印されたの? 何も悪い事しとらんのに? ええー? ないわー」
「でも、そのおかげで僕と君は出会えたじゃないか☆」
ルーチェモンが星が飛ぶ勢いでバチーンとウィンクをすると、何かがバルバモンの膝にぽこんと当たって落ちた。
バルバモンは細い枝のような指でそれをつまみ上げる。正体はまさに金平糖のような星型の物体で、バルバモンは困惑した。本当にウィンクで星を飛ばす奴がいるか。
ナルシストな台詞は適当に反応しておけばいいが、物理的な星(物理的な星?)の始末には流石に困る。
「ベルゼブモンなんか、君らの倍のペースで代替わりしてるけどまだ七大魔王なんだよ? 君がクヨクヨすることないよ」
「あいつらもあいつらで難儀な種族じゃのう。生き急がずにはいられんのか?」
二人はつい最近代替わりしたばかりの『暴食』の魔王の顔を思い浮かべた。先代の戦死から少し間を置いてから新たに生まれた10代目のベルゼブモンを。
「逆に考えるんだ。彼らは太く短く生きて死んだからこそ『神話』になったんだ。ほら、生きてる内は中々『神話』になれないから……」
「残酷な天使のなんとやらぁ」
ルーチェモンが伝説になったのも、古代を生きた先代の功績によるもの。バルバモンがベリアルヴァンデモンより強いと謳われるのも、遥か昔に存在した個体が残した記録によるもの。記録や功績が、永い時を経てやっと『神話』になった。
それに対してベルゼブモンは、デジタルワールド史においてはほんの最近登場した種でありながらも、鮮烈なデビューと衝撃的な死によって瞬く間にその名をデジタルワールド全土に轟かせた。
「まあ半分くらい鍛冶神のおかげじゃけどね! しかも、此度のベルゼブモンは遂に鍛冶神自らが育て上げた個体じゃ。今度こそ生き残、残……残れるかなぁ……?」
バルバモンは自分で言っておきながら頭を抱えた。
今までのベルゼブモンだって、鍛冶神が与えた魔弾を武器にして戦っていたのに、様々な理由で早逝している。
ウルカヌスモンの干渉が多少増えたところで、ベルゼブモン種の無鉄砲さが改善されるとはバルバモンには思えなかった。
「流石のウルカヌスモンも、“客”ではなく“息子”が相手ならアプローチを変えるだろう。心配は要らないさ」
「……あ、待って。そういえば、古代から生き残ってる『神話』が一人“死に残って”た」
ルーチェモンは端正な顔が歪むのも構わず、苦虫を噛み潰したような表情で忌まわしき獣の名を口にする。
「グランドラクモンは生ける『神話』だよ。今までも、これからも」
◆
「ええ。ええ。存じておりますとも。ダークエリアから面白い子が生まれて……“蝿の王”として飛び立ったと。ええ。大変素晴らしい事です。それで、ロイヤルナイツは新たな『神話』をどのようにまとめたのですか?」
吸血鬼王は優雅に微笑む。好奇心のままに動く喜びの笑みも、彼の王にかかればこのように高貴に、しかし妖しくなる。
好奇心は猫を殺すというが、この魔獣は好奇心如きには殺せないだろう。
聖騎士とも繋がりがある知識人のワイズモンは、友人の求めに応じて報告書の写しを差し出した。
『新種の魔王型個体「ベルゼブモン」に関する経過報告書』
(※数百ページに及ぶ報告書からワイズモンの独断で要所を抜粋、再編)
〇新種発見・認定の経緯
・■▲年■月●日
▲▲村の住民ほぼ全てが殺害・捕食される事件が発生。
生き残った住民からの証言より、数日前から村に滞在していた一体のデジモンによる犯行と判明。食欲に関するプログラムに深刻なバグが発生した異常行動個体と見て調査を開始。
証言に基づき復元した外見的特徴から新種と推測される。
・ロイヤルナイツ調査団による追跡調査の結果、当該個体は新種の魔王型デジモンと判明。種として定着するかはこの時点で不明であったため、「新種魔王型個体」と仮称。
類似の異常個体は年に数十件報告されるが、いずれも成長段階で淘汰されるため、究極体まで進化した例は希少。
(中略)
・■■年■月●日 新種魔王型個体の討伐作戦を決行。管理者アヌビモンの監督の下、遺骸をコキュートス最下層に廃棄。
後日、現地住民より当該個体と思しき存在の目撃報告が相次ぐ。
・調査隊が正式に生存を確認。廃棄場のデータを吸収して生存したものと推測される。以前は所持していなかった拳銃の所持を確認。引き続き警戒にあたる。
討伐作戦を指揮したドゥフトモンを強制退化処分により降格。
(中略)
・現地住民への聞き取り調査。当該個体が現地で『七大魔王』の一体として恐れられているのを確認。現時点で空席の「暴食」の座と個体の特徴が一致している事もあり、正式に「暴食」の魔王として認定。警戒レベルを3段階引き上げる。
以降は正式名称である「ベルゼブモン」と呼称。
・銃の出所が判明。大方の想定通り、ウルカヌスモン製である。
ウルカヌスモンに抗議文を送るも、なんとウルカヌスモン、ユピテルモン、ユノモンの三柱の連名で反論が届く。オリンポスの神々と敵対するのは得策ではないと判断し、抗議文を取り下げる。
・無差別な捕食の減少を確認。一方で戦闘行為及び敗者を捕食する件数が増加。捕食数自体に増減は無い。
バグとして発現した特性を、種の特性として再定義しつつあると推察される。
(中略)
・■■年■月▲日 第二次討伐作戦を決行。結果は騎士見習い一名を残して全滅の大敗に終わる。
ベルゼブモンがより上位の新形態を発現。翼が生え飛行能力を獲得。右手は陽電子砲に変化し、クロンデジゾイド製の装甲を破壊可能な威力と判明。(※マグナモン、クレニアムモンの防御性能との比較は要検討)
本強化形態はベルゼブモンの自己申告通り「ブラストモード」と呼称。
〇最終報告
ベルゼブモン種の定義を「強化形態としてブラストモードを有する」ものとして更新。
これを以てベルゼブモン種のデータベース構築は一旦の終了を迎えたと見做し、分類を「新種」から「既存種」へ移行する。
現在発見されている魔王型個体の中では小柄であるものの、ブラストモードの瞬間的破壊力は他の魔王型と同等以上の脅威である。また、ブラストモードの発現にウルカヌスモンの関与は見られなかった。
上記を証拠に単独でのブラストモード発動が可能であるとして、個体としての危険度が上昇したと判断。警戒レベルを他の七大魔王及びグランドラクモンと同じ最大レベルに引き上げる。
当該個体はバグ持ち個体がさらに突然変異を起こして発生した種である。バグ自体は現在も継続的に報告されており、次代が生まれる可能性は十分に高いと判断。
事前の発生防止が理想だが、バグを持つ個体はデジタルワールド全土の全種族に一定の確率で発生するため、特定種・地域での掃討作戦は無意味。
また、紛争地域ではデジモン同士の捕食が頻繁に行われている事から、バグ持ち個体の発見が遅れる傾向にある。この事実はバグ持ち個体のみを標的とした掃討作戦を困難としている。
従って、現状では発生後に対処する方針を取らざるを得ない。
(※ワイズモンがこの報告書を入手して以降の追記)
・XX年XX月XX日 ベルゼブモンの完全なデリートを確認。『色欲』のリリスモンが部下を処罰している最中に乱入。自身と同じ悪食バグ個体のピコデビモンを庇い、リリスモンからの攻撃を受けて死亡。
◇
おい! 言うとくけどなぁ!
ワイはあいつを神話(この言い方もしゃらくさいわぁ!)にするためにベレンヘーナをくれてやった訳やないぞ!
単にあいつに銃持たせたら面白そう思ただけや!
あいつが神話(これ口に出すん恥ずかしゅうてしゃあないから止めへん?)になったんは、あいつ自身が血ぃ吐くほど努力した結果や! ワイの功績やない!
まあ、あいつらが活躍すればするだけワイの武器の宣伝になるんはありがたい話やな! なはははは!!
それとなあ! ワイはベルゼブモンを贔屓しとる訳やないぞ! ワイが目ぇかけてやりたなるような奴がベルゼブモンに進化しとるだけや! ワイの倅かてそうや、例外は無い! そんなやからどいつもこいつも早死にしよるねんけど……。仮に気に食わんベルゼブモンが生まれたらそいつにベレンヘーナはやらん!
おまけにも一つ言わせてもらうで! ベルゼブモンの誕生は! 本当にワイと! 関係無い! 前二つはぶっちゃけ疑われてもしゃあないけど、これはほんまにちゃう!!
今まで生まれたベルゼブモンは倅で10人目やけどな! “ああいう子ら”はその倍は生まれとるで! 殆どがベルゼブモンになれずに死んどるか別物になっとるだけや!
今までのベルゼブモンはあいつらの努力とかそういうアレで進化しとって……この話さっきもしたなあ。
ちゅう訳で、ワイがベルゼブモンを大物に仕立て上げようとした訳やないので、よろしゅう。
でもそういう自分らも、ベルゼブモンみたいなんがおる世界のがおもろいと思っとるんやろ? ワイもやねん。
◇
「人がデジタルワールドを忘れて百年足らず。しかし、その間デジタルワールドでは何万年もの時が流れ、数多の『神話』が生まれて消えた。仮に人間が再び歴史に姿を現したならば……やはり貴方がたにとっては、いい気分ではない?」
女は海神に問う。
「我らが恐れ憎むのは、デジモンが自ら『神話』を紡いだ功績を掠め取られる事だけだ。仮に“選ばれし子ども”とデジモンが手を取り合い、次なる『神話』を生み出したとして……我らはそれを時代の流れとして許容する」
海神は応える。
「我ら十二神もほんの数万年前までは“新しい神”だった。アヌビモンも元はダークエリアの管理システムだったものが、信仰により神の姿を得た。四聖獣や四大竜も、はじめから伝説だった訳ではない。少しずつ、少しずつ『歴史』を積み重ねて『神話』になった。きっと“選ばれし子ども”とそのパートナーも、いずれは……」
海神は天――すなわち、水面を仰いだ。
「デジモンは進化する生き物だ。『神話』も信仰も、進化し続けるさ」
◆
無事か? 坊主。へへっ。そいつはよかった。あいつの毒液がかかっちまったら、成長期なんかひとたまりもねえからな。
俺はいいんだよ。気にすんな。
お前が助かったお祝いに、こいつをやるよ。
その銃は「ベレンヘーナ」ってんだ。名前の意味は「ナス」らしいぜ。ふざけてるよなぁ?
それを持ってウルカヌスモンっておっさんに会いに行け。偏屈なおっさんだけど、まあ、あのババアに比べりゃ百億万倍マシさ。
いいか。ウルカヌスモンの居場所を探すんだ。誰に聞いたっていい。どんなに時間がかかったっていい。その代わり、最後には絶対にお前の力で辿り着け。そうすりゃあお前の人生、少しはマシになる。
ははっ、その足じゃ銃は持ちづれえか。大丈夫だ。ウルカヌスモンに会う頃には、そいつが似合う立派なデジモンになってるさ。
ウルカヌスモンだ。覚えたな? 絶対生きて辿り着くんだ。泥でもゲロでも何でも食って生き延びるんだ。“俺達”はどんなものでも食えるようになってるんだから、後は生きる目標さえあればいくらでも生き延びられるさ。
そら行け! 行くんだ! ウルカヌスモンに会うまでは二度とここには戻ってくるな! ほら行け!!
……どうだおっさん。俺もあんたと同じ事をしてやったぞ。
あいつは俺が助けたんじゃない。あいつが勝手に助かるんだ。あいつは勝手に助かってあんたの所に押し掛けるんだ。
ざまあ見やがれ。
ベルゼブモンに対してはツンデレなマタドゥラー(造語)こと羽化石です。
こちらの単発作品企画に参加させていただきました。
今回は『変化』がテーマということで、もう一つ軸に『神話』の話を据えて書かせていただきました。
まず、今回の舞台は、「人間が作った」タイプのデジタルワールドです。しかし人間はとうの昔にデジタルワールドを放棄しています。
元は人造生命体だったデジモンは、自ら『神話』を生み出しました。世界に新たなそういう概念が生まれるのも一種の『変化』ですよね?
その『神話』の変遷もまた『変化』の一つですよね?
という考え方です。
数いる伝説的なデジモンの中でも特に、ベルゼブモンとウルカヌスモンをクローズアップして書いたものが本作になります。もう少し色んな神話を織り交ぜる案もありましたが、とっ散らかってしまうので今回はこの二体を中心にという事で……。
結果として、神話の始まりという新年にぴったりなテーマになったのではないでしょうか。まだ年末?マジで?
以下は各パートの解説です。
(個々の解釈の妨げになってしまうかもしれないので、ご自分で感じた事を大事にされる方はこの辺りでストップして頂いた方がいいかも……。ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いします。)
・パート1
ウルカヌスモンがベルゼブモンにベレンヘーナを渡すエピソードを羽化石的解釈したものです。この出来事を経て、ベルゼブモンは「害虫」から「魔王」に「変化」しました。ここから七大魔王としてのベルゼブモンの『神話』が始まる訳ですね(後のパートでより詳しく説明されます)
ちなみにウルカヌスモンが喋ってるのはデジタルワールドの古語らしいです。たまたま関西弁に酷似してるだけらしいです。
・パート2
パートの間に「◇」を挟んで始まる謎の対話記録です。これは人間の女性が、海神ことネプトゥーンモンと会話しているという状況です。ネプトゥーンモンは女性にオリンポスの成り立ちを説明してくれています。ド直球に『神話』の話ですね。
実は当初、オリンポス十二神全員の成り立ちを書くつもりだったのですが……長くなりすぎるのと、この話に必要なのはぶっちゃけウルカヌスモンの説明だけなので、ウルカヌスモンの話に差し掛かったところで一旦切りました。
・パート3
今度は黒塗りの「◆」を挟んでまたまたベルゼブモン視点。実は「◆」は過去パート、「◇」は現在パートの開始を表しています。
こちらはブラストモードが歴史に初登場したシーン。こうしてベルゼブモンは『神話』の存在になったのです。
・パート4
「◇」なので現在の会話パート。ルーチェモンとバルバモンが駄弁っていますね。
こちらではベルゼブモンやウルカヌスモン以外の『神話』の話を挟んでいます。デジタルワールドの中ではベルゼブモン以外にも色んな『神話』が生まれていたんだよ。そして生まれた『神話』は今も息づいているよ。という事です。
そして羽化石の作品なんだから、当然あの「王」もいるという事です。
・パート5
「◆」を挟んで過去パート。はいお待たせしました!吸血鬼王パートです!!マタドゥルモンノルマはドラクモン進化ルートで代替できるので、王様のご登場を以てノルマ達成!
……と見せかけた、ベルゼブモン神話の解説パートです。
こちらはベルゼブモン視点ではなく、客観的な(ロイヤルナイツ)視点でベルゼブモンが『神話』に至るまでの説明です。
・パート6
現在……というかウルカヌスモンの台詞パートです。ベルゼブモンへの熱い想いを語ってくれています。
ベルゼブモンは神である自分が関わったから『神話』になったのではない。そもそもそういうんじゃないから! あいつはデジモンとして頑張って『変化した』んだからな! というある意味で『神話』というテーマの否定ですね。
今回の話に相応しいかはさておき、本作のウルカヌスモンはそういう主張をせずにはいられない神です。
・パート7
またまた現在パート。再び女性とネプトゥーンモンの会話パートです。
仮に再び人間がデジタルワールドに関わってきたとしても、それもデジタルワールドを取り巻く『変化』の一つというお話です。
・パート8
過去パート。パート5で触れられていた初代ベルゼブモンの最期です。
こうして初代の伝説は幕を閉じ、しかし確実に『神話』は紡がれていく。
という感じです。オムニバス形式かつかなりポエミーな仕上がりになってしまったので、ちゃんと伝わっているかは分かりませんが……とにかくウルカヌスモン、最高〜!と伝わっていれば嬉しいです!
という訳で、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
改めてまして、今年もありがとうございました。皆様よいお年を〜!
…………ごめんなさい。またトラウォ世界からネタを引っ張ってきました。
ウルカヌスモンが関西弁で喋り始めた時点でお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、トラウォの話です本当にごめんなさい。
ここからはトラウォ読者の皆様向けの解説です。まだサロンに投稿していない(個人サイトで公開中!)話も含まれているので、ご注意ください。
・パート1、3、5、8
初代ベルゼブモンの話です。でも!!これはいつもの設定蔵出しではなく、なんと!!この企画のために新たに考案した完全新規パートです!!ちゃんと新規で考えたお話なんです!!
初代ベルゼブモンという大事な話を10年間も考えてなかったの?というお叱りは甘んじて受けます……。
・パート2
謎の女性……何者なんだ……。ちなみにこのネプトゥーンモンも、「嫉妬の魔王になってしまった友人の心を救うために先代から地位を譲ってもらった」という覚悟ガンギマリ設定があったりします。
・パート4
お馴染みのバルバモンとルーチェモンのパートです。もうトラウォである事を隠さなくなりましたね。
しれっとウルカヌスモンに息子がいる話が出て、トラウォ未読者の方々はびっくりした事でしょう。
・パート6と7の間
実はこの間に「セラフィモンとロイヤルナイツが選ばれし子どもの扱いを巡って争うパート」と「風峰風香独白パート」がありました。
前者はギスギスしてるしウルカヌスモンの話から外れるのでカット。後者はトラウォ読者しか分かんない上にド直球のネタバレなのでカットです。
という訳で、トラウォ世界観だけど蔵出しじゃなくて新規エピソード&設定もちゃんと入れました!という主張でした。来年は本編でお会いしたいものです。
なんかぐだぐだになってしまった。とにかく羽化石はウルカヌスモン大好き人間だと分かっていただければそれでOK。
それでは皆様、今度こそ良いお年を。