
「そこで何してるの……?」
その言葉に、声をかけられた赤いボサボサ髪の少女は口に含んでいたラーメンをごくりとほぼ噛まずに飲み込んだ。
家庭科室の机の上にはぬいぐるみと言い張るにはポップでなく、野良猫と言い張るにも微妙が過ぎる、中型犬ぐらいの大きな耳と長い爪の生き物がいた。
ガジモン、ふらりと痩せこけた姿で彼女の前に現れてなんとなく居ついた生き物である。
「家庭科室で鍋からインスタントラーメン食べてるってどういうこと……!? しかも野良猫……? 野良犬……?」
扉を開けたところにいたのは、今時絶滅危惧種だろう黒髪三つ編み眼鏡の少女だった。
「強いて言うなら飼い犬かにゃあ」
ガジモンがそう言うと、真面目な彼女には赤髪の彼女が言ったように聞こえたらしい。犬が喋ったことへの反応はなかった。
「飼い犬連れてきてラーメン食べさせてるの!? 塩分!! しかも机の上って汚れるじゃない!!」
「大丈夫大丈夫、ガジ……ガジラは自分で手足拭けるもんなぁ?」
「まぁ拭けるわねぇ」
赤髪の少女にガジモンはそう答えると、さっきまで麺を掴むのに使っていた爪を少女の手から受け取った布巾で拭いた。
「えっ!? わっ! かしこーい、かわいー、えらーい! 撫でていい?」
黒髪の少女はそう言って、ガジモンの側で思わ口角を上げ、手をパチパチとさせた。
「いいけど、委員長そんな安易なキャラで大丈夫? 今時真面目三つ編み眼鏡委員長が実はぶさかわ好きとかギャップかも怪しいよ」
「……なに? キャラってなんの話? ゲームとかは私よくわかんないよ?」
黒髪の少女はそう言うと、少し遅れてあ、と呟くと急にまた最初に話しかけてきた時のような責めるようなトーンで話し出した。
「ガジラちゃんがいくら可愛くても連れてくるのも、家庭科室でインスタントラーメン食べるのも食べなことは変わらないからね! あと、もう中学と違って委員長でもないし!」
ガジラちゃんって言ってる時点で説得力ないなぁと思いながら、赤髪の少女は鍋に残った麺を啜り一気にごくごくとスープを飲み干した。
「じゃあ、前みたいにゆうちゃんでいい? うちと横田家関わり多いから横田さん呼びなんてやってられないよ」
私も昔みたいにまいちゃん呼びでいいからと告げると、黒髪の少女は最初の出だしに困って口をもにょもにょさせた。
「……せめてユウキさんって呼んで。私は前田さんって呼ぶから」
「はーい、横田勇気(ふぁいと)さん」
赤髪の少女はそう聞いて黒髪の少女をそう呼んだ。
「私の名前ふぁいとって読むなら私も米(ヨネ)さんって呼ぶからね!」
黒髪の少女、横田勇気は赤髪の少女の言葉にそう語気を荒らげた。
「んー、了解。ふぁいとさん」
「前田ヨネー!!」
「はいはい、こちらヨネでございます。なき曽祖母の誇らしい名前故、恥じる理由もございません」
絶叫する勇気に、赤髪の少女、前田米は開き直って演技めいた口調でそう答えた。
「で、別クラスの委員長でもないゆうちゃんはなんで家庭科室にいるの?」
「……生徒会の庶務やってるんだけど、家庭科部が文化祭での部の出し物についての書類出してなくて、お昼でもいることあるって聞いてたから来たんだけど」
他にはいないし、いたらインスタントラーメンなんて作らせてないかと勇気はため息を吐いた。
それに対して、米は家庭科室の棚を開けるとファイルに入った書類を取り出した。
「はい、これうちの部のやつ。生徒会から人来たら渡しといてとは言われてたんだよね」
「……家庭科部なの?」
「じゃなきゃ、鍵貸してもらえないでしょ」
それもそうかと勇気はプリントを受け取り、家庭科室から出て行った。
背中を見送って、米は途中から黙っていたガジモンを見た。それに対して、ガジモンも米を見た。
「あの子大丈夫? 結局インスタント麺のこととかうやむやにされてたのわかってなかったみたいだし」
「……本人はしっかりしようとしてるけど、電波入ってる天然なんだよねぇ、昔から」
昔から、とガジモンは鍋を洗い出した米にそう聞き返した。
「イマジナリーフレンドってやつ? 喋る鳥がいたとか、ちょこちょこ変なのがいるって言い張ってフラフラしてた。それで、親達はすごい嫌がってた。他の子達がサンタもいないって気づいた頃にゆうちゃんは私達に見えないものを見ていたから。五年前ついに我慢の限界が来て……」
米はがしがしと鍋に強くスポンジを押し付けた。
「……まぁいいや、めんどいし」
「でもそれ、自分達みたいなのかもしれないよにゃあ」
「ガジモン以外にも……まぁ、いるかそりゃ。今更だけど、なんか漫画みたいに世界の危機が云々とか持ち込まないよね? 魔法少女とかも私にゃちょっとキツ過ぎるし」
心底嫌そうに米は言った。
「そういうのはないけど、みんながみんな自分みたいに話がわかるとは思わないほうがいいわねぇ」
「じゃあ、ゆうちゃんは今までたまたま話がわかるのを引き続けた訳?」
「まぁ……大体は向こうの世界でやってけなくてこっち逃げて来たんだろうからにゃあ、話がわからないにしても逃げてくとかもあるかな」
ガジモンの言葉に、ならまぁ放置してていいかと米は洗い終えた鍋を布巾で拭いた。
そうしている内に、昼休み終了の予鈴が鳴りガジモンを置いて米は教室に戻って行った。
「マイちゃんと話したの久しぶりだったなぁ」
放課後、生徒会室で一人勇気は嬉しそうに呟いた。
「横田くん、なんだかご機嫌だね」
「あ、中村副会長。家庭科部から文化祭の出し物の最終稿の書類受け取ってきました」
勇気からプリントを受け取った柔和な笑みを浮かべた中村という青年は、一つ頷いてプリントに目を通した。
「ありがとう……かぼちゃケーキの販売か、なかなかいいね。美味しそうだ」
「では、今日はちょっと早めに帰りたいんでこれで失礼します」
「ああ、会長には僕から言っておくよ。ちなみに理由は? いや、デートとかなら聞くのは野暮かな?」
中村の言葉に勇気の顔色はすんと落ち着いたものになってしまった。
「……そんなんじゃないですよ。相手もいないですし」
「そうなの? 横田くん可愛いのに」
そんなこととボソボソ呟く勇気の顔はほんのり赤くなり、口角も少し上がってしまう。
そのまま逃げるように生徒会室を出た勇気は嬉しいような悲しいような複雑な気分で学生寮へと戻った。
勇気は中村が好きだった。お世辞にも人が多いとは言えない過疎化の進んだ地元から出てきた彼女に対して、中村は優しくしてくれた。
用事というのも他でもない、翌日が中村の誕生日だったから、何かお菓子でも作れないかと思ったのだ。
「……喜んでくれるといいんだけど、無理かな」
都市部で土地が取れなかったのか、学生寮は学校から十分ほど歩くところにある。スーパーに寄るには少し寄り道が必要な為、勇気は細い横道に入っていった。
自分は彼から見た時、あくまで後輩でしかないのだろう。デートかもしれないと思ったとしても、特に気にならない程度なのだ。
ふと、何か妙な感じがして勇気は足を止めた。
子供の頃に何度も感じたことがある、自分にしか見えないナニカが近くにいる感覚。
いつもは通り過ぎる小さな社、そこにそのナニカはいて、御供物をむさぼっていた。
巨大なサザエのような殻を持ち土色の身体を滑らせたナニカ。そのナニカはぎゅるりと首を勇気に向けるとにたりと笑った。
「お前。俺が、見えてるな?」
「み、見えてない」
巨大な手の生えたカタツムリの化け物の様なナニカに、勇気は思わずそう返した。
「阿呆め、そう口にできるのは見えてるもののみよ」
凸凹とした口元を喚起に歪ませながら、そのナニカは巨大な手で勇気を掴んだ。
「お前を食らうて俺はこの世界での実体を得るのだ」
黄色い目をぎょろりと見せつけたそのナニカに、勇気はひっと息を呑んだ。
「前田さん前田さん、プリントは出したのかな? 教卓にないんだけど」
がっちりした体に可愛らしいピンクのエプロンをつけた男子生徒はそう米の前に抹茶のパウンドケーキを一本の半分置いた。
「それよりケーキ幾らか持って帰っていいですか? プリントはガジモンがラーメンこぼして捨てました。」
「マジかガジモン、こんにゃろめー!」
少し黄色いかぼちゃの香りのするパウンドケーキの半分を米の前に置いた女子生徒がそう言ってガジモンの頬を両側から手で挟む。
「やべべぶべぶひょう、ひゃんほはひはかは……」
「じゃあ前田が嘘吐いた罰ってことで!」
「ひふびん……」
部長と呼ばれた女子生徒はガジモンをもみくちゃにする。
「で、まぁケーキ持ち帰りたいんだって? 調子悪いの?」
チョコのパウンドケーキを米の前に出しながらまた別の少しおっとりした雰囲気のある女子が聞く。
「いつもなら部の余ってるの全部一人で食べるわよね」
だから今日もパウンドケーキ三本とか焼いてる訳だしとその女子は言った。
「んー……まぁ、ちょっと幼馴染が生徒会入ってたので、賄賂送ろうかと」
米はそう言いながら、パウンドケーキをキッチンペーパーで包んで、男子の先輩が差し出した大きなタッパーに詰めていく。
「送れ送れぇ! 部費アップしてもらえ!!」
ガジモンをぬいぐるみのように抱えながら、部長はガハハと笑った。
「生徒会にそんな権限ないでしょ……」
「そりゃ残念、でもまぁ、前田にこれ以上食わせすぎると相撲取りみたいになるだろうからちょうどいいな!」
「へーい、ご厚意感謝しまーす」
そう言って、前田は部長からガジモンを取り上げて 、ろくに教科書の入ってないスカスカのエナメルバッグにつっこんだ。
そして、家庭科部の部員達に見送られて生徒会室へと向かった。
「横田くんならもう帰ったよ。なにか用があるとかで」
「あれ、そうですか……」
「そうですね。そういえば、さっき伝えたいことがあって電話したんですけど出なくて……寮の部屋知ってるなら、電話をかけ直すようにと伝えてくれませんか?」
「……わ、かりましたぁ。失礼しまぁす」
あっという間に生徒会室を後にして、米は少し胸騒ぎを覚えた。
「ガァジィモーン」
「……部屋知らないから臭いで探せって話?」
「いや、それ以前の話。ゆうちゃんのお母さんはゆうちゃんが電波入ってたから過干渉気味でさ……連絡つかないとヤバヤバになるんだよね……」
米はそう呟き足早に玄関へと向かう。
「……どれくらいヤバヤバに?」
「うーん……一度、私がゆうちゃんを家に泊めてと呼ばれた時は、キッチンの床にコップの破片やら皿の破片やらが散乱していて、ゆうちゃんの脚が切れてたぐらい……?」
「それはぁ……ヤバヤバだにゃあ……」
ガジモンはそう言って、勇気の匂いを思い出して空にむかって鼻を鳴らす。
手を上げたい訳じゃないから、お母さんも自分の手元から離して、でも連絡取れない時のために寮母さんとか別の連絡先がある寮のあるとこにと続けかけて、そこで米は一度止めた。
「とにかく……ゆうちゃんと連絡が取れないはまぁまぁ異常事態。めんどいけど、何かあった方がもっとめんどい……」
「しかたないわねぇ……じゃあちょっと頑張ったげましょ」
カバンからごろんと落ちたガジモンの身体が光り出し、白と黒の毛皮を持つ大きな猫型の獣へと姿を変える。
「なにそれ」
「進化ってやつ。デジモンにはよくあること。今はランナモン」
「ダーウィンに怒られそうなネーミングしてんね」
米はその言葉にそう呟いた。
「まぁその前に先生に怒られるかな」
「確かに。まだ人いる時間だし、廊下だし……」
ランナモンが廊下にいる光景はどう見ても異常、そして咎められるのは当然すぐそばにいる米だろうことは想像に難くない。
「実体半分消しとくから、他の人には自分は見えないから大丈夫大丈夫」
「なにが?」
それであたしの姿は消えないのではと呟く米を口に咥え、進ランナモンは廊下を走り、窓から外へと跳び出した。そしてグラウンドも数歩で渡ると、そのまま近くの建物の屋根へと跳んでいく。
「明日には空飛ぶ赤髪デブって都市伝説ができちゃうなぁ……めんど……」
自身を咥えた屋根の上を駆けている事実から米は物理的に目を背ける為に目を瞑った。
「見つけた!」
「おや、案外お早いお着きッ……」
急に止まったせいで米の身体は揺られ、喋ろうとしたことと相まって牙からするっぽんと抜けて空を舞う。
ゆうちゃんがどうか以前に私の方が先に死ぬなあとふんわり思った。
「めんご!」
屋根から電柱へ、電柱から地面へと跳ねてランナモンは米の落ちる先に飛び込んだ。
「ぐべっ」
ランナモンの背骨がまぁまぁの勢いで肉に食い込み、米は醜い悲鳴を上げた後、べちゃっと地面に転がり落ちた。
「泥汚れとかめんどいのよねぇ……」
そういいながら米が顔を上げると、神社の賽銭箱の前に意識のない勇気が横たわっていた。
「ゆうちゃん? そこで何やっぐぇ!?」
四つん這いのまま勇気に向かって米が進もうとするのを、ランナモンが服を咥えて止めた。
「ガッ! ジッ! モン!」
「見えてないだろうけど、いるんだよそこ」
ランナモンがそう言うと、米の進んでただろう辺りの地面にめこと巨大な五指で押した様な跡ができた。
その正体たるカタツムリの化け物を見ているのはランナモンのみだった。
「おぃ!! なぜ俺はこいつを食えない!! 教えろそこの四つ足野郎!!」
カタツムリの化け物が勇気に噛みつこうとするもその顎はするりと勇気をすり抜け、傷ひとつつけられない。
その怒号も米の耳には届かない。米にはそれを見れる程の素養がない。
「モリシェルモン……幻見せて意識奪ったんだろうけど、見えてないのはいないと同じ、誰も見てないお前は誰にも触れられないのよ」
ランナモンの言葉に、米は流石に奇妙と首を傾げた。
「なに、何と話してんの?」
「マイは自分を見て、自分がならなんとかできると信じて自分のことを見て」
「意味がわからんけどわかった」
うんうんと米は頷いた。
「つまりなんもしなくていいと」
その言葉にランナモンは思わずモリシェルモンから目を離して米を見た。
「……違うよ? 今の地面どーんとか怖かったじゃん? ちょっと揺れたしさ。でも、なんとかできるはずだってこう……気を強く持って強がって欲しいっていうかさ……」
「だからいつも通りでいいんじゃんめんどいなぁ……ガジモンができるって言ったら疑わないって」
「……まだできるって言ってないんだけど、自分」
「じゃあできないの?」
米がそう言うと、いやとランナモンは首を横に振ってモリシェルモンに向き直った。
「マイが見てくれるなら、できる」
「じゃあ、できんじゃん」
めんどいから何度も言わせないでよねと米はため息を吐いた。
「うだうだうるさいぞお前ら! そもそも何故お前は当たり前のように人間に見えている! この世界に生きる資格が俺にはないと言うのか!!」
モリシェルモンの怒号が響く。聞こえてない米でさえ、空気の振動だけはその肌で感じる程の凄まじい怒号が。
「波長の合うパートナー見つけない限りは自分達デジモンはあくまでこの世界じゃ異物なのよ」
ランナモンの身体が光に包まれ変わっていく。
毛皮は黒く、二足歩行になった肉体は筋骨隆々、袈裟がけにしたチャンピオンベルト、背中にはロケットエンジンをつけて拳は鋼。黒鉄の人狼がそこに現れる。
「……顔が整い過ぎてる。もう少し不細工な方がガジモンっぽい。五点減点」
「百点満点? ちなみに今の名前はブラックマッハガオガモンね」
「十点満点。名前の修飾も多過ぎるのでさらに三点減点」
流石にひどいと米の言葉に人狼は頭を抱えた。
「だからうだうだうるさい!! よくわかんねぇけど俺を無視するんじゃねぇ!!」
そう言って猛然と襲いかかるモリシェルモンを、ブラックマッハガオガモンは左手一本で頭を押さえて止める。
「仕方ないでしょかまってちゃんめ。マイ達の日常にとって君は異物、本題から外れたぁ……」
ブラックマッハガオガモンはそう言って拳を握り、モリシェルモンの身体の下から天へ向かって振り上げる。
「蛇足!」
モリシェルモンの身体が浮き上がる。殻が割れて宙を舞い、さらに舞い上がる。
「パートナー見つけてマスコット枠で出直しな」
どぉんと神社の裏手の小さな雑木林にモリシェルモンが落下する。
「……もうゆうちゃん助けていい?」
「いいよ! あとワンパンした自分を褒めてよマイ!」
「えらいえらいガジモンはえらいのでゆうちゃんも運んで」
米は勇気が普通に息をしていて怪我もなさそうなのを確認すると、ブラックマッハガオガモンに適当にそう返した。
「いいけど見た目的には浮いてる感じになるよ」
「…… まぁ既にフライングデブになってるし、自分で運ぶのはめんどいからさ。私の部屋の窓開けとくしそこまで連れてきて」
「んーまぁいいか……」
ブラックマッハガオガモンは神社から珍しく走って去っていく米の後ろ姿を見て、にやりと笑った。
「ターボババアの噂知ってる? 返り血で真っ赤なターボババアが屋根の上を跳び回ってるんだってさ」
部長からそう言われて、米は一瞬嫌な顔をしたがすぐに否定するのもめんどいなと机に突っ伏した。
「……知りませんでしたぁ。ガジモン知ってた?」
「知らないにゃあ。ほら、自分ワンちゃんだからさ」
顔の前で手を合わせて尖った歯を見せないようにするガジモンに、今日もかわいいなぁお前はと部長はこねくり回した。
「そういえば、生徒会の幼馴染の子にあげたケーキの感想どうだった?」
今日もピンクのエプロンをつけた男子生徒がそう米に聞く。
「あー……喜んでくれましたけど、結局あの日食べなかったんですよね」
「あれれ、どうして?」
「好きな先輩にお菓子作るってんで、余分を処理してたらケーキまで手が回らなくて」
勇気はモリシェルモンのことは特に引きずらなかった。恋する乙女は強いのだ。
「あらあら、そういう話なんだったら私達にレシピとか聞いてくれればよかったのに……」
「あたしも昨日初めて知ったし、恥ずかしいから他の人に言わないでーって」
「それは仕方ないわねぇ……」
「ですねー、うまくいったらまた付き合わされそうなんで、おすすめのレシピ本とかサイトとか教えてください。本当、ゆうちゃんはめんどくさい」
そう呟いた米の口元は言葉と裏腹に笑っていた。
ホラー作品の投稿が多かったこの企画において、「良かった……絶対日常系だ」と思える安心感がイラストに詰まっておりました。
仲良くインスタントラーメン食べてるのかぁいいねぇかぁいいねぇ
モリシェルモンを前にした時の二人のやり取りが、短いながらもパートナーに寄せる信頼みたいなものを感じられてとても好きです。
でもブラックマッハガオガモンは泣いていいと思うよ……
家庭科部の皆さんの暖かい雰囲気に癒されながらも、勇気さんのダークな家庭環境にちょっぴりガクブルしたりして、でもなんだかんだでトラブルも速攻解決してほんわかムードのまま楽しむことができました。
へりこ先生のこういうゆるめのお話もっと読みたい……(願望)
米さんと勇気さんはこれからもなんだかんだで仲良くやっていくんだろうなと思いを馳せつつ、ここらで感想とさせていただきます。